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2007年4月 9日 (月)

英語の上達(研究編)

留学後、どのくらいの期間で英語が上達するのか?

渡米したばかりの人たちによく聞かれる質問であるが、私の体験をもとに、留学後の上達の過程と、上達の仕組み、日本にいる時にどういった勉強をすべきだったかを考えてみたい。

留学する前は、「アメリカに住んでいれば、自然に英語も上達するだろう」ぐらいに軽く考えていた。日本では、英会話のNova3ヶ月ほど通ったが、あまり上達した感触はなかった。個人的に思うのは、英会話学校に数ヶ月行くぐらいの練習量などは、留学してしまえば、数週間のうちに経験してしまうということだ。

Novaでの経験は、英語の勉強よりは、そこで出会った人たちとのコミニュケーション、異業種交流という意味では、非常に有意義だった。)

留学前に日本で英語を勉強するなら、会話(聞く話す)でなく、読み書きや、発表の技術などに時間を費やすべきだったと感じている。読み書きや、発表に関しては、日本で勉強しようと、留学先で勉強しようと、似たようなレベルのエネルギーが必要だが、聞くことと話すことに関しては、留学先では、はるかに少ない労力、費用で上達する。

初めの2週間は、驚くほど英語が通じなかった。留学前の私の英語経験は、1度海外の学会に参加したことがある程度。英語での発表は、なんとかできるが、会話は初歩的なことだけというレベルだった。初めの2週間は、研究テーマに関しての議論や、実験の手法やラボの仕組みを教えてもらうのに、お互いの意思が通じなくて相当なストレスを感じた。その理由を今、思い返してみると以下のようなる。

1)自分の発音が悪いので通じない。例えば、試験管を3つ欲しい(three tubes)と言ってもThの発音ができていないので、カタカナで「スリー」と言ってしまい、これが全く通じない。この場合、指を3本立てるなど、ゼスチャーを駆使したり、とにかく紙とペンを持って歩き、文章や絵を描きまくることで、なんとか乗り切った。そのうちゆっくりでいいので、Ths、zの違い、gとzの違い、lとrの違い(これは未だに難しいが)を意識して発音するようにすると、結構、通じるようになってきた。

2)相手の発音が聞き取れない。文章を見れば知っているフレーズでも、早く言われたり、正しい発音で言われたりすると、こちらはカタカナで覚えているので認識できない。

3)かなり高頻度で使うフレーズでも日本では習わないので知らない。例えば、「これで終わり!」という意味の「That’s it.」など、日常生活で多用されるにもかかわらず、日本の英語教育ではあまり習わない(または単に自分が知らない)フレーズが結構ある。これらのフレーズを覚えるだけでも、かなりコミュニケーションができるようになってくる。

これらの初歩的なことは、1ヶ月ぐらいもすると、自然に身についてくる。そういう意味では、1ヶ月でも海外留学を経験するとしないとでは、後々、研究者として外国人と共同研究など交流をもつときに大きな違いがでてくると思う。今更ながら、学生など時間のあるときに、夏休みなどを利用して、ただ働きでいいから海外のラボに入れてもらい、英語漬けで生活するという経験をしていれば、この初めの導入もかなりスムーズに行ったと思う。また、そういう経験があれば、ラボ選びの面接を受ける際にも、選択の幅が広がったと感じる。

初めの3ヶ月間は、相当なスピードで英語力が上達した3ヶ月間、毎日、英語ばかりつかっていると、たいていの頻出フレーズ、単語、その発音を耳と口が覚えていく。この間は日々、自分の英語の上達が実感できた。初めの3ヶ月で研究に関する会話、例えば教授との研究に関する議論や、同僚との実験に関する意思伝達に関しては、流暢ではないが、意思疎通に問題はなくなった。

しかし、3ヶ月以降は案外、上達した感覚がない。この後は、急激な進歩は見られず、じわじわとゆっくり上達してくるようだ。1年たった頃でも、過去形や複数形などの文法はあまり気にせずに話していたし、ラボミーティングで白熱した議論になってくると、全く聞き取れていないことも多かった。このまま、もう上達しないのではないかと不安に思ったものだ。次に上達が感じられるのは、2年後ぐらいで、この頃になると、3ヶ月目のように、めちゃくちゃな英語でとにかく意思を通じさせるのでなく、文法的に正しいかとか、より適切な単語はどれかとか選ぶ余裕がでてきた。脳がいきなり英語にさらされて、その記憶が定着していくのに2年ぐらいはかかるのだろう。

長くアメリカで仕事をしている人たちの話を聞くと、渡米後、5年間ぐらいは英語が上達し続けるそうである。しかし、その後は特別な努力をしない限り、マックスに達してしまいなかなか上達しないらしい。私は今年で4年目になるが、未だに日常生活を送っているだけで、少しづつではあるが、上達していることを感じる。

結論を言うと、研究の英会話の上達関して、

1ヶ月もいれば、研究に関して全く意思が通じないというレベルを脱することができる。

3ヶ月もいれば、とにかく意思を伝達させるだけなら問題はなくなる。

2年いれば、ある程度適切な英語で意思疎通ができるようになる。

5年いれば、英語に関するひととおりのことはマックスに達する(予想)。

以上、私の経験であるが、もちろん、個人差は多大である。特に大きな違いがあるのは、

1)留学するときの年齢。もちろん若い方がいい。私は30代前半でポスドク留学しているが、20代後半で博士課程留学しているひとたちなどは、格段に上達が早くかつ、マックスに達するレベルが高いと感じる。さらに20歳前後で学部生で留学している人は、大学院やポスドク留学している人たちとは、全く違う次元のレベルに達しているようで、状況によっては英語のほうが快適だというレベルに達しているようなひともみかける。逆に40歳前後で渡米した人たちは、一般に上達が遅い人が多いように思う。

2)社交的な性格のひとは、別格。社交性によっても、全く上達が違うようだ。特に話す能力は、個人差が大きい。聞く能力は、比較的滞在年数に比例することが多いが、話すほうは、そうでもなく、日本語を話す能力にかなり相関しているように思う。日本語でもおしゃべりな人は、英語でもだまっていられないらしく、はじめから、めちゃくちゃな英語でも喋りまくる。そのうち正しい英語も覚えてくるので結局、速いスピードで上達するようだ。

3)立場の変化。私の場合、3年目に新しいメンバーを指導する立場になった。いやでも、人とかかわっていかなくてはならなくなり、はじめはかなりのストレスだったが、この頃から急激に会話が上達したように思う。職場での指導的なポジションや会の幹事など、ストレスでもなるべく多く引き受けることで、格段に英語力が上達する可能性がある。

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