「大発見」とは、どういう発見をいうのか?
私が、学生の頃、ラボの助教授が、論文を書いては「これは大発見だ!」とよく言っていたものである。学生の私には、それがどの程度重要な発見か、全くわからなかった。その発見は、もの凄く小さなジャンルで特別な研究に対する発見であるようにも見えるが、それは単に自分の専門知識が足りなくてそう見えるのだけかもしれない。専門的すぎて、どの程度重要な発見なのか学生では理解できない。
しかし、教授陣でさえも、少しジャンルが離れれば、ある学生が発見した事柄を、どの程度重要な発見かその場で評価するのはそうそう簡単なことではない。
ネイチャーに載っている大発見をしたことが明らかな論文でさえ、自分の専門ジャンル以外であれば、たいした発見でないように見えることも多い。自分が専門としているジャンル以外の発見というのは、予備知識なしでは、その発見の重要性などわからないのだ。
しかし、論文として発表されている90%以上は、もの凄く小さなジャンルの特別な発見である。研究者個人にとっては、大発見かもれいないが、世間から見れば、ほとんどが「たいしたことのない発見」なのである。
それでは、どうすれば、その発見が、大発見かどうか客観的に判断することができるか?その判断基準のひとつは、「後々の他の研究者たちの書いた論文に引用される件数」という数字である。論文の末尾には、必ず引用文献リストというものを載せる。「私は以前に発見されたこれこれの論文の情報をもとに、この発見をしました」という論文のリストである。大発見であればあるほど、その論文をこの引用文献リストに入れる人が多くなるので、「引用される件数」は自然と多くなる。「引用される件数」とは、例えて言うなら、テレビ番組の視聴率のようなものである。この「引用件数」の多い論文ほど、多くの研究者の支持を得ている大発見ということになる。大発見なら数百件の論文に引用されるが、世間に出回っているほとんどの論文の引用される件数は5件以下である。
大発見かどうかを調べるには「引用される件数」を調べるのがベストなのだが、困ったことに、大発見かどうかわかるまでに、何年も時間がかかるということだ。
以前は、出版された時点での、その論文を評価する方法はほとんどなかった。
そこで、編み出されたのが「インパクトファクター」という指標である。
インパクトファクターとは、引用件数を元に、その科学雑誌がどの程度、科学界に影響を与えているかと言う「テレビの視聴率」のような役目を果たす数字である。
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